語る、また語る

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2023-01-01から1年間の記事一覧

先達

「日本にいたら、同じのがあたりまえで人との違いが気になっちゃうけど、外国にいると違うのがあたりまえ。ちょっとやそっとの違いなんて気にしてたらやっていけないし、気にならなくなるよ」二十代そこそこの私に発せられた、印象的な言葉。人との違いに納…

境界

午後五時過ぎ、タイムカードを打刻し、三階から事務所の階段を下りる。工場を横目に敷地内の駐車場へ急ぐ。車のドアロックを解除する。運転席のドアを開ける。鞄を助手席に放る。運転席に座ってドアを閉める。ふうと溜息をつく。ドア一つで、外と中が隔たる…

帰結

あえて自らにストレスをかけて、それに挑む自分が誇りだった。そんなに躍起になっていたのは、何者かになろうとしていたからだった。もう身に余るストレスは必要ない。無駄にはならない、何だって経験にはなると、芯から熱くなることが減った。冷めたのか、…

気分を晴らす

小学校で学級閉鎖、もれなく持ち帰ってきて、私も布団に突っ伏してしばらくしたら、怒れるようになってきて、ああ、治ってきたのだ、と思った。床に臥せっていると、怒ることすらできないのだ。さて、私はいろいろな気分を晴らすためにブログを書いていると…

周回

新緑のころ、彼に話しかけた。彼は図書館で本を読んでいた。同じ授業で見かけたことがあり、話してみたいと思っていた矢先だった。連絡先を交換した。CDを借りた。二人でビリヤードに行った。ビリヤードの前に何を食べたか、どうしても思い出せない。彼に恋…

必要なものが残る

パンデミックを経て、ある友人とは公園で会うようになった。お昼前に落ち合い、食事をしながら話して別れていたが、お店はいろいろと制約があるから行かなくていいのでは、と意見が合った。朝一で集合して、お昼前には帰る。暑かったり寒かったり雨だったり…

調和

夏が暑さによって洗濯物を乾かすなら、秋のそれは風なのだろう。ベランダから見える川沿いの木々が、葉を落とし始めている。これから少しずつ葉が離れていく。離れた葉を掃く。通りかかった人と挨拶を交わす。夏は青々とした葉を広げて家への日差しを防いで…

くるおしい朝

学生のころ、試験の前に、たまに徹夜などをしていたものだ。夏か冬かは忘れたけれど、一人暮らしの古いマンションで一人、その日も私は徹夜の覚悟であった。深夜二時、そろそろ集中力も切れてきて、もう寝たいけれど、まだ課題が終わらなくて、寝たら単位を…

表出

自分の顔を見れば、自分の調子は、だいたいわかる。良いときは、目に意思があり、肌も滑らかで、口角は上を向いている。そうでないときは、目の力は弱く、肌はくすみがちで、あらゆるパーツが重力に従順である。朝、身支度するときに顔を見て、ああ、疲れて…

素直さが生み出すもの

ある人に、お礼を言う機会があった。立ち話で時間がなかったのもあるけれど、上手くしゃべろうとか、相手に喜んでもらおうなんて考えず、思いのままに発した言葉が、驚くほど鮮明に耳に入ってきた。伝えたのはこちらの方なのに、自分が素直で無心だったから…

内在

使える余地と好みが合えば、誰かの使っていたものを買うことがある。CD、書籍、家すらも。先日、スピッツのアルバム「三日月ロック」を購入した。中古品だ。帯はなかったけれど、折り目のないブックレットにアルバムを引っさげての当時のツアーパンフレット…

幸せについて

「何かに集中しているときは幸せだ。何も考えなくていいから。」ある少年が呟いていた。あなた、まだ十年も生きていないよね。でも、その気持ちを持ち続けてほしい。”幸せ”とは、誰もの関心事だけれど、口に出すと廃れていく気がして人と話すことが少ない。…

自分自身に言葉をかける

気の進まないやりたくないことは、誰にでもある。私的なことならやらなくても支障はないが、公的となるとそうもいかない。とはいえ良い効果もあるからと、適度に自分を納得させて取りかかる。やり始めても、まあ煩わしい。煩わしいからやりたくないのだし、…

身の丈に合わせる

山、と思っていた出来事が終わった。迎えるまでも、最中も、その後もせわしなかった。もう少し肩の力を抜いたらと言われた。それは、自分でもわかってる。自分が水中で仰向けに浮けないのは、そのせいかもしれない。それはさておき、谷間に来れて安堵してい…

裏側

ネガティブに惹かれるのは、そこに人の本質が見えるからだろうか。煌びやかな言葉が眩しい。画面の向こうには、ネガティブが入る余地のない時が流れているのだろうか。たぶん違う。どちらを切り取っているか、だけだ。きっとその人にしかない泥くささがある…

鈍感

どうして奔走しているのだろうと、思いながらも奔走していた。何らかの集団に身を置くと、自分にできることを見つけて、つい動いてしまうように長年プログラムされてしまっている。物を入れ替えたり、まとめたり、手が届いていないところを埋めに行ったり。…

夜色

深夜1時に目が覚めたので、この時間に他にも起きている人はいるのかとカーテンを開けると、少し離れた家の明かりが見えた。電気を消し忘れただけかもしれないが、それでも気持ちが和らいだ。また別の窓の前に立った。外は暗く、昼に見えていたものが見えない…

相応

ナーバスだった。十五夜に"すすき"を供えた。根本付近から取ってきて、残った部分を野ざらしにしておいたら、からからに乾いていた。剪定ばさみで切って、袋に入れる。庭のオリーブの木から「ひこばえ」が出ていたので切っていたところ、すすきがなくなって…

旅の洗礼

お題「海外旅行で経験したトラブル」 海外旅行は、日本語が話せる現地の方が一緒の条件を選びがちです。そのおかげか、今まで大きなトラブルはなかったです。以下、インドネシア旅行時のトラブルです。・浴室のお湯が出ない何とか英語を並べてフロントに電話…

素直な感情を出す

自分で選んだ道について、嘆いたり不満を言ったりするのは、よくないと思ってきた。とはいえ、時にはこぼすのであるが、どこか「いけないこと」をしている感がぬぐえなかった。そのルーツは何かと考えたところ、母の言葉をもとに自分でつくった価値観であっ…

安息日をつくる

疲れたら休む、疲れる前に休む、ようにはしているが、どうにも調子がよくないときはある。先日子どもが熱を出したけれど、家から出なかったのが、とんでもなく久しぶりであった。子どもは動きたいものとはいえ、あまりに動くのも、心身がついていかないだろ…

感傷

急に涼しくなって、慌てて長袖などを引っぱり出してきた。土手には彼岸花、夜風に乗って聞こえる祭りの太鼓と鐘の音。秋はひっそりと訪れていたのだった。眠くて寒い朝、自分を生き返らせるのは、あたたかいスープである。スープは偉大だ。母校に行く機会が…

殻を破る、心をひらく

悩みや不満を人に話すことに抵抗がある。おそらく、否定されるかもしれないという恐れと、相手は自分より大変だから…と勝手に判断して、ブレーキをかけているのだ。そうはいっても、話したくはあるので考えたところ、仕事でもないのだし、「ぼやかして、話せ…

葛藤に働きかける

そうしたいのにできない、自分だったらこうする、などの対自分、対相手の「葛藤」に消耗する。単に手元無沙汰だから、葛藤に目が行くのか。でも、それだけではないと思っている。むかしは、そもそも感情と向き合っていなかったために、あったはずの葛藤に気…

ポジティブを積み重ねて育てる

ネガティブが幅を利かせるのは、人の生存のために仕方のないことではあるが、あまりにネガティブばかりを拾っていたために、それが癖になっている。子どものころからネガティブなわりにはたくましく生きてきたつもりだったが、働きはじめてからはネガティブ…

大切にしているものを見つめる

左手首を負傷した。壁にぶつけただけだ。あんなところに壁がなければ。痛みから、いっとき車のハンドルも握れない、シフトレバーが動かせない、野菜が切れない、食器が洗えない状態になった。どうやら左手というのは、実際に動かす右手を「支える」役割を担…

落としどころが、わからない

先日出かけたときに、いいところもあるのだけれど、そこだけは、いただけないという思いを持った。自分の身近な人であっても、性格や行動などで首をかしげたくなることは、ひとつやふたつあるだろう。完璧な人はいないのだ。ネガティブな感情を抱いたという…

再会

残暑はきびしいけれど、涼しくなるとこんなにも身体が楽なのかと感じる。もう暑さにどう対応していたか忘れつつある。来年の夏が思いやられる。しばらくテーブルに並ばなかったりんごを購入し、数か月振りに包丁を入れる。切ってそのまま口に放り込んだら、…

頑なな感情の緊張をほぐす

知ろうとしていないということもあるが、かのマインドフルネスというものがよくわかっていない。先日読んだ本に、著者がマインドフルネスを実践した様子がわかりやすく書かれていたので引用したい。著者は臨床心理士になるための研修で感じた多くのストレス…

思考の舵を取る〜感情が事実とは限らない〜

感情は事実ではない、との見方がある。以下、ジュリー・スミス著、野中香方子訳「一番大切なのに誰も教えてくれないメンタルマネジメント大全」の一部を参考に書いていきます。 感情とは、脳が提示する選択肢の一つ 感情は推測であり、あくまでも選択肢の一…