語る、また語る

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通学路と追憶

少し前に、
小学校入学を控えた長男と、
リハーサルもかねて学校まで歩いた。

通学路は、
住んでいる地域(田舎)の
まあまあ主要な道路。
信号はないが、交通量はそれなりにある。

小学校までの道は、
ほぼ道なりで、徒歩10分ほど。

交差点に来たら左右をよく見て、
車が来てなかったら渡るとか、
ここは車がたくさん通るから
危ないとか諸々を一緒に確認した。

朝は集団登校なので、
お兄さんお姉さんに
ついて行くことにはなるが、
前もって一緒に歩いておけば、
多少の注意喚起にはなるだろうとの
母からのアドバイスだった。

すっかり春の陽気で日差しは暖かく、
でも風はひんやりとしていて、
歩くのも気持ちがよかった。

川沿いを歩いて、
橋を渡るところがあるのだが、
土手に生えている草木の葉が、
風に揺られて、サワサワと音を立てていた。

半分くらい歩いたところで、
「遠い」、「まだ着かない」
「疲れたからもう歩けない」など、
弱音を吐く長男を見て、
大人からしたらなんてことない距離だけど、
小さな体の子どもにとっては、
確かに遠いだろうなと思った。

道すがら、
自分が小学生だったときのことを
思い出してみる。

縁石の上だけ通るとか、
側溝の穴を踏まずに歩くとかいう
謎のゲームをしてみたり、
道端の花を摘んだり、
友達と少し遠回りして帰ったり。

アスファルトや運動場の砂利を
自分の小さい足で踏みしめたあの感触は、
今でも何となく覚えている。

春夏秋冬の空気のにおいを感じて、
子どもながらにその日のことや、
明日のことを思慮しながら一人歩いていた。

きっと長男も、
いろいろなことを思いながら、
毎日この道を歩くんだろう。

その日その日のすべてが、
彼に積み重なって、
糧になるのだと思うと、
見守る親としては、既に感慨深かった。