語る、また語る

いつもにプラスα

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会社をやめる人の気持ち

「今の状況がずっと続くわけじゃないし、
少し待てば、
またいろいろ変わるかもしれないよ。」

「でも待っている間の
自分がかわいそうだから、
ぼくはやめます。」

専門職を目指して、
大学校に入るという若手社員との
会話を今でも覚えている。

このときわたしは、
わずかな希望をもって今を耐えることを
決めていたけれど、
10年後、その人と同じ選択をした。

まさしく、これ以上苦しむことはない、
そんなかわいそうな思いを
自分にさせることはないと、会社をやめた。

これまで、
何人も会社を去っていく人を見てきたが、
まさかわたしがその立場になろうとは。

会社をやめたことがなかったときは、
会社をやめる人の気持ちはわからなかった。

やめることは、
よくないことだと思っていた。

でも、やめるときはやめるのだ。

もったいないとか、これから変わるとか、
そんなものより、やめる気持ちが勝るのだ。

また、こんなやりとりもあった。

「どうしてみんなやめちゃうんですかね。」

「べつにやめるのが
わるいことじゃないんだよ。
その人にとっては、逃げたんじゃない。
自分にとってのリスクを回避したんだよ。」

わたしは20代半ば、その人は50代前半。
海外に勤務していたところを
ヘッドハンティングされてきたけれど、
わたしが30代になるかならないくらいに、
また海外に行きたいと、
早々に旅立って行った。

そのときは、腑に落ちなかったけれど、
10年後、取り返しがつかなくなる前に、
自分を守るために、わたしは逃げた*1

そのことについて、
どうこういうつもりもないし、
だからどうということもない。

ただ、ときが経てば、
また何かしら思うこと、
わかることはあるだろうと思っている。

月日は散らかった心を
やさしく包みながら過ぎていく。

*1:恵まれていたと思う。