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あの賞は、励ましだったのかもしれない

中学生のとき、
校内の読書感想文コンクールに入選し、
毎年度末に生徒会が発行している冊子に
載ったことがある。

わたしは、出来がよかったから
選ばれたとばかり思っていたけれど、
本当にそうだったのだろうか。

先日、読んだ本について書いたが*1
そこで意味深いエピソードがあった*2

中学校内の作文コンクールの
奨励賞候補となった男子生徒に対する
ある教師の主張である。

放っておいても伸びていく子はいますが、彼には、少しの励ましが、いま、必要です。賞って、作品の絶対評価、つまり「現在」に与えるものなのでしょうか。生徒の能力が伸びるかもしれない、その絶好のタイミングを思えば、「未来」に与えてやるべきものなのではと。作品がいいか、悪いか、面白いか、つまらないかという価値だけで判断していくのは、こんなに若い生徒たちに、やや酷だと思います。(中略)ただ、ニシムラくんは、いま、奨励賞でも貰ったら、ぐーんと音をたてて、伸びていきますよ、それが見えるから、わたしはこの子に、ぜひとも、励ましを与えてやってほしいのです。

作品そのものの評価は置いて、
賞を与えるという行為をもって、
生徒への励ましとしようというのだ。

話が逸れるが、
小学校時代に同じようなことがあった。

たしか、絵画と工作の校内審査で、
励ましの意味合いで選ばれた
クラスメイトがいたのだ。

わたしはそのことを
クラスの友人から聞いたが*3
そのクラスメイトたちは、
決して目立つタイプではなかった。
幼いながら、妙に納得した記憶がある。

わたしが賞をもらったのは、
あのとき一度のみで、
特別文章を書くことが好きな
子どもではなかった。

タイムや点数で
順位が決まるわけではない
作文という分野である。

そう考えると、
特別作品がいいわけではないが、
これからの伸びしろに期待されて、
あのとき賞をもらったと思えてならない。

ちなみに選考は先生方がおこなう。

校内という狭い範囲でのことだから、
励ましの賞があっても、
問題にはならないだろう。

これが、公のコンクールとなると、
話は違うが。
(よく知らないが、作品そのものより、
大人の事情というのも絡んでくるのだろうか)

真相はわからないけれど、
賞をもらったことは、
自信につながったのはたしかだ。

結局、賞をとることは、
人に自信を与えるだろうし、
大きく捉えれば、励ましなのだ。

だから励ましかそうでないかは、
もうどっちでもいい。
わたしはあの賞で励まされたのだ。

*1:katari-mata-katari.hatenablog.com

*2:本の感想は、できれば一度にまとめたいのだが、あまりに話題が飛ぶので分けました。

*3:それが漏れているのも問題ではある。