たとえば、ものの選び方とか、
人との接し方とか、
子どもの子育ての方針とか、
人によって価値観が違うというのは
わかっている。
別に相手に悪気がないのもわかっている。
でも、
自分が「そうはしたくない」ということを、
好意的にすすめられると困惑する。
相手と自分の違いが、
チクチク胸に刺さってきて、
「うぐぅ」とその場にしゃがみこんで
しまいたくなる。
たぶん、
その行為だけを助言してくれたのなら、
わたしも素直に聞けたのだろうが、
そこに理由がつけ加えられ、
その人の価値観が見えたから、
わたしは居心地がよくなかったのだろう。
そういうときは、必ずといってもいいほど、
相手から目を逸らしてしまう。
さすがに、
目をずっと見ないのも不自然なので、
形式的にでもお礼を言うときだけは、
視線を合わせた。
ぎこちない顔になっていたはずだ。
「そういう価値観もあるよね」と、
軽く受け流しておくのがいいんだろう。
そこで、
「そこはわたしとは違うんだけど」と
突っかかっていったところで、
どうしようもないから。