語る、また語る

いつもにプラスα

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あの日々は幻のよう

わたしの大学時代は、
実は幻だったのではないかと
錯覚するときがある。

写真やそこでの人とのつながりなどから、
ああ、現実だったんだとわかるけれど。

なんかもう一人自分がいて、
その自分が過ごしてくれたような。

あのころの自分が今の自分と
地続きになっていることが、
信じられないような。

ときどき思い出すことがある。

若さあふれる女が、
颯爽と自転車をこぐ姿を。

友人の家で一夜を明かし、
薄明りの中、
気だるく自宅へ帰る姿を。

授業の合間に
キャンパスのベンチで、
たわいのないことに
大笑いしている姿を。

授業が終わった後、
ぞろぞろ出てくる学生の群れを。

テスト勉強をしていた
図書館の静けさを。

アルバイトへ行く前の、
束の間の昼寝を。

飲み会前に、だんだんと人が
集まってくる今は無き、
ファッションビル前の様子を。

写真に残っていないそれらの情景も、
時とともにぼんやりしたものに
なっていくのだろうか。

でも、大丈夫だ。

ここに書いたんだから、
きっと忘れることなんてないよ。