どうして奔走しているのだろうと、
思いながらも奔走していた。
何らかの集団に身を置くと、
自分にできることを見つけて、
つい動いてしまうように
長年プログラムされてしまっている。
物を入れ替えたり、まとめたり、
手が届いていないところを埋めに行ったり。
血のつながった家族などを前にすると、
少し鈍感になるのだけど。
色づくのを待っている黄緑色の南天が、
道路脇に揺れていた。
きっと幼いころは、南天を
見つけただけで上機嫌だった。
自分自身に多くを求めたまま、
月日は流れていた。
もうそのへんにしておきなさい、
耳を通り過ぎていった言葉が、
辺りを舞っている。