午前10時過ぎ、
一日の頂上を目指す太陽を仰いで、
土手で自転車を行く。
なだらかな上りになっている
川沿いを進んでいくと、
視界に入る家々が、
田畑と小さい山に変わる。
地面から湧き上がる熱気と、
風を体に受けながら
緑に包まれているのは、心地がよい。
ときより、トンボたちと並走する。
車を運転しはじめてから、
とにかく車を使うようになった。
速いし、楽だから。
でも夏の車は、冷房をつけていても、
日差しが強くて暑いから、快適さ半減。
自転車の方が、風が当たって涼しい。
時間はかかるけど、
ガソリンというエネルギーも使わない。
学生のころは、河原もコンサート会場も、
実習も、自転車で行けるところなら、
どこでも行った。
懸命にペダルを漕いで目的地に着いて、
また自転車で帰路につく。
思えば、移動することが
一つのイベントみたいだった。
自転車の、あの火傷しそうなサドルよ。
信号待ちをしていたら、
顔からブワッと汗が吹き出してきた。