語る、また語る

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弱さは、誰かの弱さを想像する強さになる

人目を気にしたり、人に嫌われたくないとか、そもそも自分に自信がないと思うことは、ともすれば気持ちの弱さと見られる。少なくとも自分にはそういう気持ちの弱さはあるし、その弱さをなくしたいと感じることもあるけれど、逆に気持ちの弱さにこだわらずに…

眠って逃避する

「大学に行くことになったんだ」と言われて、どこのと聞いたらとなりの大学とわかってこれからも会えるのだとうれしくなった。自分は15歳以上若くなっていた。そういえば番号変わってないよねと顔を上げると、別の女子たちに連絡先を聞いていた。いかにも彼…

何もかもに独りでぶつかるくらい若い

同僚がつらそうにしていたので、水曜日に空き地で話を聞いた。水曜日は定時退社日だった。コンビニエンスストアで飲むものを買ってきた。同僚は甘味も買っていた。別に同僚から頼まれたわけでもないが、環境を変えようにも自分にできることはやり尽くしたと…

書き言葉が定まる

自分が書きたいことを一気に書くと400字くらいになって、文章のつながりはさておき、10分でそれらしいものが出てくる。ブログを始めたころは、ああでもないこうでもないと、一文書くのに10分かかっていたり、むしろ400字も書けなかった。とにかく書いてみる…

麗しい目で物を言う

自分の三分の二くらいの身長から注がれる眼差しが、準備はいいかと問うている。球の打ち合いのようなことをしていて、彼女のターンになると決まってそうだった。そんなに見つめられたら見つめ返すけれど、こちらの目はどんな物言いをしていたのだろうか。私…

花が順に送る

冬の装いだった山に、淡い綿菓子のようなものが点々とあって、それが桜だとわかって春だと思った。若葉の色をした一体があるかと思えばしっかりとした緑もあって、その模様にしばし見入る。水仙は花をひそめ、チューリップも徐々に見納め、つつじが一つ二つ…

こうやって変わる

下駄箱からスニーカーを出して一メートル下のコンクリートに落とすと、ターンと音がした。不機嫌だったこともあるが、スニーカーに対してはどうもこの調子である。履いてなんぼの靴とはいえ、あまりに扱いが粗末すぎである。集積場でビニル袋を投げていた文…

余力を守る

手本を見せるために逆上がりをやってみたらできた。やはり意欲の問題なのか。気まぐれに鍛えた筋力のおかげか。鉄の棒に支えられてしばし宙に浮き、辺りがまるでアニメーションのように動く。うれしくて笑ってしまう。幼いときに最も得意だったのが鉄棒だっ…

読みて潤う

幼いころに泣きたいことがあって、目が潤んでくるのがわかっていながら、泣いていると思われたくないと懸命に涙を落とさないようにしていたことがある。映画館などははたと行っていないけれど、少しの涙ならぬぐわない、出てくるものを啜らないでしばらく様…

どうにもならないままで居る

へたってくると隙あらば嘆きたくなってくるが、嘆きばかり言っている人とも思われたくないので、話したくないわけでもない話せることを話して戻ってくる。一人で嘆いているのではどうにもならずそれは独り言で、嘆くことによるけれど、やはり誰かに投げかけ…

気安く投げないでくれたまえ

よくやっていました、それしかやっていませんでした。アルバイトの終わりに、集積場に黄色いビニル袋を投げていました。密閉された集積場の扉を開けると、むわっとしたものに囲まれる。もうそこから早く出たい、むしろ開けたくもない、入口近くに投げて後は…

連続のような一部を見ている

開花するチューリップのつぼみは気づいたときからつぼみであった。球根を植えて芽が現れたと思ったら、もうつぼみがある。つぼみができそうでできないときを自分は知らない。眠っているときに背が高くなるのを、幼いころにも意識していなかったように。花を…

妙なものを覚えてる

舞台であろうと体育館であろうと、舞台照明というものは熱い。ただでさえ緊張する演奏に、照明をも当てられるのだから困ってしまう。とはいえ、そういうものなのだから、額に汗を滲ませながらも歌うしかない。普段の音楽室にはない環境、最後まで慣れること…

コックコート

学生のとき、お昼にしようと学生街の通りを同級生の友人と歩いていた。自分がよく行くパン屋がある通りだ。パン屋は夫婦でされていて、カウンターには可愛らしいご婦人、厨房には寡黙そうな紳士がいらっしゃる。授業やアルバイトの前に立ち寄ると「いってら…

「感じるしかない不安」がある

くじ引きの結果がどうなるかわからなくて不安だ、行きたいイベントの内容がわからなくて不安だ、子の担任の先生が誰になるかわからなくて不安だ。ここ最近の平和な不安である。平和ではあるが不安は不安で、何かの拍子に不安がふっと浮かんできては受け流す…

不快な感情も浸食される

どうなっても不快なことはあるのだ。不快な気持ちで帰宅して、しかし雑事は待ってくれなくて、そのまま一時間が経った。まだまだ不快だった。ああすればよかった、こうすればよかったと繰り返す。自分は衝動で動いてから悔やむことがある。自分の目指すもの…

悪口にある不満を聞く

悪口とは「自分の不満を言っているだけ」と書かれているの本があった*1。おそらく顔を合わせてのやりとりを想定していて、インターネットなどは含まれないと思われる。自分は30代後半であるが、10代のための…というメンタルについての本は、つい読んでみたく…

見えない太陽と歩く

二月だったか、繁華街を歩いていた。お昼近くになるのに、通っていく風が冷たく感じられた。わずかに見える空を探しても、太陽の位置がわからない。高い建物の影が地面を広く覆っている。東の山から昇り、正午に南中となり、西の海に隠れるまでの太陽の動き…

何かに見立てて鳥瞰する

相手の反応を全体で受け止めているというよりも、頭上を通り過ぎて行く感じを持つようになった。自分と相手の境界が曖昧になりやすい自分としては、まだ自分側に反応が入って来ているとは思うものの、幾分か身体が軽い。人によっては、相手の反応は漫画の吹…

子は親を真似る

「(りす組*1の友達に)ありがとう言っておいてね」と子に頼むと、その友達がいないのにその場で「ありがとう」と言うものだから、「あなた(子の名前)から友達(友達の名前)にね」と加えた。文脈から内容を読み取ってもらえないときがありつつ、そんなこ…

ごめんね、パン屋さん。

夕方に近くのパン屋さんに行ったら、惣菜パンを子が買いたがって、時間を見ると6時近くだったので「安くなりますか」と聞いたら、店員の方が壁の時計をチラリと見て「安くしてもいいよ」と答えた。夕方に行くと惣菜パンを半額にしてくれるものだから、ちょっ…

羨んでも自身に戻る

先日、久しぶりに強く人を羨ましいと思った。生まれたときからの関係性があり、自分にはとうていできないことをなさっていて、自分がやろうとしてもできるものでもない。人がやらないことをやる、ということに自分は価値を見ているらしく、その人の独自性が…

「他人は変えられない」と前置く

他人に期待をするなと親に言われて育ったけれど、公立中学を卒業してからは、何とも過ごしやすい環境にいた気がする。偏差値で分けられて地方に住んで、自分のつき合いたい人とだけつるむ、何だか上手くいっているように思える。期待して外れることばかりで…

見ようとすると見える

児童書を読み聞かせるとき、どこかで、作者の伝えたいことを読み取ろうとして読む。そうやって読むのと読まないとでは、受けるものが違うのである。真っ新な気持ちで読み、そのときに感じることをおもしろがることもできる。一つひとつの記憶のピースがつな…

ニュースサイト「SmartNews」に載っていた

1日20~60くらいの平常アクセスが乱れるとき、それは何かが起こっているときである。この記事がニュースサイト「SmartNews」に載っていた。 katari-mata-katari.hatenablog.com SmartNewsで記事を発掘せよ アクセスが伸びたのは3/20。はてなブックマークのト…

得難いものを見ている

周りを歩く人たちを見て「価値観が歩いている」と思った。おそらく同じような価値観はあれど、まったく同じ価値観はない。おのおのが持つ価値観が異なることを考えると、歩いている人たちを見てそう思うのも頷けた。自分と同じであるということをずっと探し…

相手と交換して広げる

衝突している二人の間に別のある人が入ると、妙に中和されることがある。また、何事もなかった二人と誰かが関わるようになると、二人の関係性が変わることもある。還暦を迎えた夫婦の家に居候することになった若者だとか、恋人同士のどちらかのむかしの相手…

そわつく心境が写る

デジタルカメラで写真を撮ってもらう機会があった。長いつきあいの友人と二人、注文した鯛めしが運ばれてきたところで、店員の方にカメラを渡した。二十代前半くらいの若者がカメラを構えたものの、押すボタンがわからなかったために説明をする。撮影される…

溺れる恋に釘を刺す

学生のころ、友人何人かと恋のことを話していたときに指導教官から釘を刺された。恋をするのはいいけれど、閉じられた関係にならないようにという趣旨だったと思う。あいにく、実際どうだったのか知る術はもうないのであるが。自分で生計を立てていない学生…

相槌で幕を引く

相手から一定調子の「そうなんですね」しか返ってこなくなったら、切り上げるか、話を変えてもよいと思う。自分がただ話を聞いてもらいたいときは別だが、引き時というものはある気がする。相手の反応が薄かったら、話す方も気力を失くすというものだ。誰か…