夏が暑さによって洗濯物を乾かすなら、
秋のそれは風なのだろう。
ベランダから見える川沿いの木々が、
葉を落とし始めている。
これから少しずつ葉が離れていく。
離れた葉を掃く。
通りかかった人と挨拶を交わす。
夏は青々とした葉を広げて
家への日差しを防いでくれているのに、
冬は空になった枝の隙間から
めいいっぱい太陽を招こうとしている。
人と落葉樹のつり合いを思う。
遠くにある標高1000メートルの山を、
フロントガラスで捉えて家に帰る。
夕焼けが山々を赤く照らして、
やがてふっと光らなくなった。
日の入りだった。