スピッツの新しいアルバム
「ひみつスタジオ」。
どこを切り取っても絵になる音楽、
そしてなんといっても、
濁りのないボーカルに釘つけである。
年々"ろ過"でもされていくように
声が澄んでいっていると感じる。
録音技術などもあるだろうけれど、
その声に酔いそうだ。
「i-O(修理のうた)」は、
薄暗いトンネルを歩いて抜けて、
まだ見ぬ景色を見に行くみたいな誘い。
オルガンの音色が西洋宗教音楽を思わせる。
どストレートな「跳べ」。
"君の大好きな物なら
僕も多分明日には好き"なんて、
いつまでも眩しさを持ち続ける
草野さんがうらやましい、「大好物」。
一気に解き放たれれる「美しい鰭」までの
流れがこれまた精巧で、
とても気に入っている。
「さびしくなかった」を聴いたら、
初めて恋人ができたときのことを
思い出した。
乾いた音がパキッとしていて、
ひたすら楽しい「オバケのロックバンド」。
泣きそうになるよ、「手鞠」。
「未来未来」は、ライブ映えしそう。
「大好物」もそうだけれど、
「紫の夜を越えて」は、アルバムで
化けている気がする。
単体で聴いたときより存在が立っていて、
もっと好きになった。
"消えたがり"という言葉が刺さる。
即効性のある「Sandie」。
日本語を伸ばしたときには、
あいうえおのどれかになるけれど、
あ、い、う、は出しやすいのにたいして、
い、えは出しにくくて尖った響きになりがち。
草野さんの「え」は、やわらかくて、
何度聴いても良いのである。
「ときめきpart1」の綺麗な歌詞。
"無理にはしゃいだあと 坂をころがって
下から見上げた月に 願いを込めて
かすれた声で stand by me歌ってる"
「讃歌」は、自由に水の中を
泳いでいるような感覚がして心地よい。
やっぱり最後はこれだね、
「めぐりめぐって」。
"ひみつのスタジオ"と歌われていたから、
タイトルはもしかしてひみつスタジオかと
予想したけれど、違った。お茶目な曲。
嫌気がさすこともあるけれど、
こうして一人音楽を聴き、
また、ブログをしたためることが
できるなら、明日を迎え続けることも
わるくないと思った。
音楽とは、自分を小さく
奮い立たせるだけではなかった。
聴いていること自体が、
愛でられることなのだ。
音楽を聴く時間を持てることにすら、
価値が、ある。