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本のなかに自分がいた~朝倉かすみさん、おすすめ本3冊~

朝倉かすみ さんは、
小説を書き始めたのが31歳で、
デビューが43歳だという。

10代のうちに彗星のごとく現れる
作家さんとはまた違うが、
歳を重ねているからこその
安定感のようなものがあると感じる。

けっこう現実味をもって、
ストーリーが迫ってくる。
でもそれは、
自分が持っているものと重なるから、
もっと読んでみたくなった。


自分の中の相手のイメージと、
実際の相手とのギャップに揺れる、
「とうへんぼくで、ばかったれ」。
(以下、内容にふれている部分あり)


好きになった19歳年上の男性を
追いかけて上京した23歳の主人公の女性。

女性が策略的に近づき、親しくなるけれど、
だんだんズレていく二人。
いや、
見ている方向は始めから違ったんだと、
そのすれ違いがもどかしい。

でもそこに、不器用だけど確実な
彼女の成長を見ることができる。

主人公のもやもやは、
けっこう共感できたけれど、
もう少し素直になったらいいのにと
思ってしまった。
それができないから、
こうやって小説になってるんだけど。

とうへんぼくというのは、唐変木と書き、
気の利かない人や偏屈な人を
ののしっていう語*1とのこと。

これは、主人公が自分と相手
両方に向けて放った科白であるような、
そんな気がしている。


どことなく影のある短編集、
「たそがれどきに見つけたもの」。

 

六編それぞれの温度は、
生ぬるい低温といった感じだが、
必ず中にカラクリがあって、
じわじわと効いてくる。


こちらは、作家生活を綴ったエッセイ。

 
いやいや、たいへんでしょと、
つっこみたくなるタイトルで笑う。

一度挫折したけど、
何冊か作品を読んでからは、読了した。

作品のこと、受賞のこと、
雑誌の取材と撮影、
サイン会やトークイベントなどの
エピソードの数々は、
ウラ話を聞いているようで、興味深かった。


わたしは昔から本(特に小説)を
たくさん読んできたわけではないため、
知らない作家さんもたくさんいるはずだ。

少しずつ開拓していって、
引き続きブログに書いていきます。

*1:明鏡国語辞典より