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「嫌な思い込み」を打ち消すための理想に、価値は無い

『自意識と創り出す思考』の第2章は、
「理想」と「嫌な思い込み」である。

理想とは、自分の「嫌な思い込み」の
反対の状態で、理想を抱き続けるのは、
無意識の思い込みを打ち消すためだと
著者は書いている。

たとえば、自分を臆病だと
思い込んでいたら、理想は勇敢であること。
自分を頭が悪いと思い込んでいたら、
理想は頭がいいこと。
自分を無価値だと思い込んでいたら、
理想は価値ある人間になること、となる。


そもそも理想とは何かという話であるが、
自分がどうあるべきかを
描いた抽象的な概念であって、
現実との乖離は、だと述べられている。

理想は概念なのだから、
実体としての価値を持つものではなく、
志でもなく、生きる上での物差しとしては
間違っている、そして偽物だとまで、
言い切ってしまっている。

 

その理想は、単に自分でこしらえたものだ。もともとでっち上げだったのだ。その理想は現実から導いたものではなく、純粋にフィクションである。
 ところが、あまりにも多くの人々が理想に頭を乗っ取られてしまう。なぜそう感じるのかの理由さえわからないままに、罪悪感を覚えたり、落胆したり、自責の念に駆られたり、自分を恥じたりする。こうなってしまう原因は、理想の中にある。理想は、その本質として、そもそも実現不可能なものなのだ。


理想に支配されると、
理想にそぐわない自分の現実の言動を
許せない、最低だ、間違っているなどと
嫌悪することになるのだ。

わたしたちがやれることは、
「嫌な思い込み」を打ち消すために、
理想を描き続けることではなく、
「どうやって望む人生を
創り出すか」に目を向けること。


理想と現実のギャップに
打ちひしがれているくらいなら、
自分にできることを考えて
行動に起こす方が生産的であると、
わたしは受け取りました。

自分として大きかったのは、
「嫌な思い込み」という
自意識うんぬんよりも、
「嫌な思い込み」を打ち消すための
理想はつくりごとだという見方を
得たことだと思います。

「嫌な思い込み」から来る理想は、
自分が本当に創り出したい成果だろうか。

自意識の裏返しであり、
自意識を満たすための自己満足では
なかったか。

未来に描くのは、
自分が心から望む成果だということを
忘れずにいたいものです。

参考文献  ロバート・フリッツ、ウェイン・S・アンダーセン著『自意識と創り出す思考』、Evolving、2018年