誕生日、好きな数字、名前など、
車のナンバープレートを
自分で決める人もいる。
わたしは、割り当てられたものを
そのまま使っているが、
10年くらい前に、車を乗り換えたとき、
一つだけ気がかりなことがあった。
携わった製品と同じだったら
どうしよう。
自分たちの業界では、
案件を区別するのに、
四桁の数字を使っていた。
いわば製品の名前である。
もう仕事はしていないが、
今でも手こずった製品の番号は、
よくよく覚えている。
とはいえ、まさかぴったり同じなんてことは
ないだろうと、書類を見て目を丸くした。
一桁違いである。
しかも、1と9のように
離れているわけではなく、
1と2のように隣り合っているのである。
さらに恐ろしいことに、
その番号は、目下奮闘している、
新型・短納期・特殊の
三拍子そろった案件そのものではないか。
正しくは一桁違いなのだが、
もはや一桁違うだけなのだから、
同じも同然なのである。
だって、その数字のシルエットまで、
似ているのだから。
たとえば、3と4のシルエットは
似てないけど、2と3とか似てますよね。
上の丸まってるところとか。
そんな感じなのである。
とんだ因縁をくらってしまったと、
職場の人に話したら笑われたけど。
何はともあれ、あの製品も、
どうにか引き渡され、
どこかで元気にやっていることであろう。
因縁の四桁をつけたわたしの車も、
負けずと快走してくれよ。
