自分で選んだ道について、
嘆いたり不満を言ったりするのは、
よくないと思ってきた。
とはいえ、時にはこぼすのであるが、
どこか「いけないこと」をしている感が
ぬぐえなかった。
そのルーツは何かと考えたところ、
母の言葉をもとに自分でつくった
価値観であった。
直接教えられたわけではない。
よく覚えているのが、
「自分で決めたんだから」という言葉だ。
後ろに「文句を言ってはいけない」
なんて付いていたわけでもないのに、
10代の自分はそう解釈したようである。
「感情は感じるものだから、
感じてはいけないということはない」と、
ある方に言われた。
嘆きや不満も、感じるものは、
感じるものとしてそこにあるだけである。
自分で決めた先にだって、
楽ありゃ苦もあるし、
山あり谷ありなのである。
そこで生じる感情は、ただ生じるだけだ。
だから、嘆きや不満を持つこと、
信頼できる人にそれを話すことは、
後ろめたいことではないのだ。
「自分で決めたんだから」の後ろには、
何が隠れていたのだろう。
続く言葉をいくつも気長に探すのも、
「自分で決めた」に縛られないのも、
どちらであっても、
それは小さいことのように思えた。