語る、また語る

いつもにプラスα

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大人になってからは、挨拶でしのげる

小学五年生のときに一人で映画を観に行った。単館だったこともあり、ロビーは出入りする客でごった返していた。ちょうど同級生二人と鉢合わせた。あまり親しくはない隣の組の子たちで、次の上映に向かっていたようだった。

二人「あ、〇(私の名前)ちゃん」

私「ああ」

(会話終了)

そのくらいの年頃は、一人でいるところを見られたくないというか、友だちがいないと思われることを恐れていたものだった。実際に、そのときは映画に行ける友だちはいなかったので、会ってしまったというのが本音だった。

それより何より、子ども同士はこういうときにどのようなやりとりができるのだろう。どうしたらいいかわからないし、どうするについても及ばなくて、いつも同じところで足踏みしていた気がする。現役小学生の様子を見ると、名前を呼んで手を振るとか、おーいと呼びかけたりして楽しそうだが、自分はそんなことは思いつきもしない子どもだった。

大人になってからはとりあえず挨拶しておけばすむから、何とも楽である。子どもたちは「おはようございます」、「こんにちは」、「こんばんは」は使わないし、使おうともしない。職場なら「お疲れさまです」だった。したい人にしかしてなかったけれど。

話したくないときは、挨拶のみで。すれ違い様に相手に気づいたのに、無言というのは自分は気がすまないから挨拶をする。遠目で相手に気づいたときにわざわざ挨拶はしないし、お互い気づいても会釈くらいだが。

子どものころに挨拶という切り札を持っていたら、あんなにしどろもどろにならなかったかもしれない。細かいことが気になるところは、小さいころから変わっていない。