語る、また語る

いつもにプラスα

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本棚に布

本棚をあまり人に見せたくない。

稀に来客などがあると、本棚の本を戸棚にしまう。だったら出しておかなきゃいいのだが、本棚の本は自分の分身のようなので見えるところに出しておきたい。あとはCDとか図書館の貸出履歴もわりと。小さな子どもがぬいぐるみを持ち歩くのと同じである。いつも本やCDを持ち歩きはしないけれど。

子どものころ習い事に行っていた家の一室の本棚には、決まって布がかけられていた。その部屋は窓のない壁一面が木製の本棚で、花柄やストライプ、無地の布が鋲でとめられていた。まあ、自分はこっそり一部の中を覗いていたものだが、それらはすべて料理の本だった。おそらく本が焼けないためにそうしていたのだろうが、すぐには見れないような牽制もそこにはあったのではと勝手に思っている。

本棚はその人を映すという。本棚をわざわざ見せたくないのも、自意識が人からどう思われるかを気にする、または自分を守ろうとしているのだと感じる。

六月に来客があるかもしれないので、そのときは、またせっせと本を隠す。