語る、また語る

いつもにプラスα

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余力を守る

手本を見せるために逆上がりをやってみたらできた。

やはり意欲の問題なのか。気まぐれに鍛えた筋力のおかげか。

鉄の棒に支えられてしばし宙に浮き、辺りがまるでアニメーションのように動く。うれしくて笑ってしまう。

幼いときに最も得意だったのが鉄棒だった。自分より背がある棒に伸びをしてつかまり、前に後ろに回った。もっとできるようになりたくて、一人で両手に豆ができるまで回った。

干支を三周して、もう若くないとか、むかしみたいなことはできないと決め切っていたけれど、そういうわけでもないらしい。それは両手に豆ができるまで鉄棒をしたら伏せるだろうが、もう少しできるかも、というところで次に回していったら何とか具合は保てそうである。

考えてみれば、腹八分という言葉があったり、誰かに会っても話足りなかったと思えるくらいの方がまた会うことにつながったり、余力をつくることは快適なことなのだ。

全てを投入して泥のようになって、動かなくなっていたのはむかしのこと、の予定である。