語る、また語る

いつもにプラスα

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不快な感情も浸食される

どうなっても不快なことはあるのだ。

不快な気持ちで帰宅して、しかし雑事は待ってくれなくて、そのまま一時間が経った。まだまだ不快だった。

ああすればよかった、こうすればよかったと繰り返す。自分は衝動で動いてから悔やむことがある。自分の目指すものがあって、それに正直に動いたのだからよかったと思ってみる。むかしの知人が、「人生万事塞翁が馬」を座右の銘にしていることを引き出して、不運も幸運になるかもしれないと考えてみる。諺とか誰かの言葉などを自分にかけるのはわりとやる。

これといって聞きたい音楽もないけれど、Lisa Loebなどを流してみる。平原綾香さんがラジオで紹介していたアーティストだ。

カウンセラーでもある下園壮太さんは、講演時に激しい怒りに見舞われたとき、帰りの電車で2時間ほど音楽を聞いて気持ちを落ち着かせられたとのことなので、自分も真似をしてみる。やることもあるので、早々に終わらせて台所に行った。

そうこうしているうちに2時間、不快感は三分の一くらい減った。あとはもう時に任せるしかないと思った。数日過ごしたら、六分の一くらいにはなった。

山あいの里にある古い神社に散歩に行くと、その石碑に「明治」の文字が彫られていた。鳥居にはなんと「慶應」とある。慶應は江戸も末のことであった。

石碑も鳥居も雨風にさらされて、いい具合に丸みを帯びている。

感情なども、雑事や時間にさらされて浸食されていくものだ。

その石の形を見て強く思った。