『自意識と創り出す思考』第11章では、
自分自身ではなく創作物に
フォーカスすることが、
創作意欲を高めると書かれている。
創作者として生計を立てている人は、創作者である自分自身と創作物を明確に区別できていることが多い。この区別は決定的に重要だ。なぜなら、区別できて初めて、作品と創作プロセスを客観視できるからだ。そこから学び、次のステップを調整していくことで、経験と勢いが生まれる。
アマチュアの場合は、しばしば違うことになっている。作品と自分自身とを混同してしまうのだ。 自意識の問題を抱えた創作者だと、何を創っても自分自身を表現したものだと思ってしまう。この状態では客観視は難しい。学び、調整し、改善して創作物を発展させていくことが難しくなる。自分の作品を自分だと思っている限り、あらゆることを感情的に受け止めてしまう。
創作者とは、詩を書いたり、花を生けたり、
ブログを書いたり(←!)する
アマチュアの人と、脚本家、建築家、
技術者などのプロフェッショナルの
人がいるとあったが、生きている以上、
すべての人が人生の創作者だということ。
創作物と自分自身を
混同しているという説明が、
自分に当てはまり過ぎていて、
もう笑うしかない。
ブログは趣味なので、
自分の一部と思っていても
かまわないだろうけど、
仕事はどうだろうか。
自分は一応技術部門にいて、
さまざまな配置図を描いていたが、
ネガティブなフィードバックを受けると、
自分自身が否定されたかのように、
仕事をすることが多かった。
そのころの自分に、
この本を読ませてやりたいものである。
また、何かを創作しているときには、
「これは自分のためになるのか」や、
「やるだけの価値はあるのか」などと、
効果をチェックしてしまうことはしないで、
創作することに打ち込もうと述べられている。
やったことから満足や楽しみが得られた、認められた、信用が増した、あるいは金銭的報酬を得られた、とわかるのは、一体いつのことだろうか。もちろん仕事が終わってから、全て完成してからである。
たいていの人にとってより重要なのは、満足することよりも、打ち込むことなのだ。
こんなところで、
6回にわたって書いてきた
『自意識と創り出す思考』を読んでの
学びのようなものを終わろうと思う。
ところで、タイトルにある自意識は、
アイデンティティと読む。(ふりがながある)
自意識は英語では、self-consciousness。
それが、アイデンティティと
読まれているのは不思議である。
自分をどう思うか・
人からどう思われているか(自意識)を、
自分はこうだという定義
(アイデンティティ)と
同じにしなくてもよく、
むしろアイデンティティを越えて、
自分が何をしたいか(創り出したいか)に
集中するというこの本の趣旨を
示しているのかもしれない。
ちなみに原題は、
「IDENTITY WHY IT NOT MATTER
WHAT YOU THINK ABOUT YOURSELF」だ。
わたしは日本語で物を考えているので、
原題を見ただけでは、
手に取るかどうかすらあやしい。
WHAT YOU THINK ABOUT YOURSELFの
意味合いを含んだ自意識を
タイトルにしたのは、訳者の方々の
手腕だと僭越ながら思った。
しばらくは本棚にあって、
ときどき見返すことだろう。