語る、また語る

いつもにプラスα

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経験でも補う

ある道徳観について、自分と相手のずれにずっと引っかかっていたのだが、あるとき相手の道徳観に合うであろう出来事があった。

相手の道徳観の根拠がわからず、何かにつけてあの人はどうしてあのような道徳観なのかと、その道徳観に疑念を持った。理解はできるが納得ができなくて、ときどき思い出してはため息をつきたくなった。ここまで数年、今となってはその道徳観に至る理由を、冒頭の出来事にからめていくつも挙げることができる。あのときはわからなかったというより、わかろうとしていなかったのかもしれない。しかしわからないことをあきらめきれず、自問自答していたらふいに開けたところに出たようである。

その人は身内でもないし、その人について知っていることは少ないし、これからもかなり距離のあるつき合いになるだろう。ただ、相手の道徳観や価値観などのものの見方や考え方には、それまでの環境や経験なども影響を与えていることは確かだったのだ。自分が今回のある出来事から、180度とはいわないが、かなり真逆に振れた観点を持ったように。

個人の道徳観や価値観にはその人なりの事情があると思えば、少なくともすぐに反発したり、自分の正義感を振りかざすことは少なくなるように思う。とはいえ、だいたい反発したり正義感を振りかざすことはできず、ただもやもやしているばかりであるが。