先日の記事では、
気の合わない相手とやむをえず
一緒に過ごさなければならないときに
どうしたらいいかを、
菅野仁『友だち幻想』という本に
のっとって書きました。
相手から距離をとって、
お互い傷つけあわないようにする
「やりすごす」という方法でした。
katari-mata-katari.hatenablog.com
では、その距離感をどうやって測れば
よいのでしょうか。
同じく、菅野仁『友だち幻想』から
まとめます。
相手との関係は二つあって、
「ルール関係」と
「フィーリング共有関係」と説明されます。
「ルール関係」とは、
お互いに最低守らなければならない
ルールを基本に成立する関係です。
一方、「フィーリング共有関係」とは、
とにかくフィーリングを一緒にして、
同じようなノリで同じようにがんばろうと
いった関係のようです。
親しき仲にも礼儀ありというように、
学校であり友だちの間であり、
まずは、お互いに守るべき範囲を定めて、
「こうゆうことをやってはいけない」という
「ルール関係」が必要とのこと。
「ルール関係」が成立してはじめて、
「フィーリング共有関係」をつくることが
できるのです。
クラスで考えた場合、
「みんなで仲良くしなければ」を
前面に出すのではなく、
「ルール関係」をもとに、
仲が良くても仲が良くなくても、
とりあえず、お互いがそこそこ平和に
一緒にいることを目指そうということです。
仕事場では、
組織ごとのルールを守った上での
関係だけではあまりにもドライなので、
一体感をもたせるよううな工夫をするのは
あり得る話ということになります。
ただ、「ルール関係」と
「フィーリング共有関係」は、
区別して考える必要があるため、
注意が必要です。
どんなに気の合わない部下や上司でも、ある程度は距離感をもって、上司である限り部下である限りは関わりあわなければならないし、お互い一緒に仕事をしていかなければならないわけです。それを「あいつはなんとなく気に入らないからあいつにだけは仕事をまわさない」とか「あいつと同じ部署にいるのはいやだ」となってしまうと、もうぐちゃぐちゃになってしまうわけです。
学校、職場、保護者会や自治会など、
「ルール関係」と
「フィーリング共有関係」を
使い分けるところばかりですね。
ルールを守って、
合わない相手とは距離をとり、
疲れを最小限にとどめた人づきあいを
していきたいものです。
参考文献 菅野仁 著「友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える」、ちくまプリマ―新書、2008年