日常的に会わない友人に会うときに、これだけは話そうと決めていることが一つや二つある。それらが自分の心情であったときなどは、頃合いがつかめずに先延ばししてしまい、別れ際にやっとなんてこともある。あれもこれも話すことはあるのに気ままに過ごしていて、そういえばあれを話していなかったと気づいたりする。話したいことを紙に書いてもいいのだけれど味気ないので、結局ゆずれないものを一つ二つ留めておくにとどまっている。
その話そうと決めていることを話して、それなりの何かを相手と話したりして、もうそろそろいい時間だろうかと時計を見ると一時間しか経っていなかったりして、さすがにもう帰ろうとも言えないときは、惰性に突入する。かといって相手からそろそろ行こうかと切り出されるともう少し話したいような気もする。壁に時計がなかったり、見えない位置にいたりして時間がわからなくて、行きたくもないのに用を足すついでにというのもどうなのかと、はばかられながらも自分の腕時計を見ている。自分はもう十分話したつもりでも、何となく会話は続いていて相手も話していて、まだ時間が限られているわけでもないのなら、どこで終わりにしようかと考えている。
自分はまとめに入ったつもりが、相手がまだ話したいようにしていて、何回目かのまとめでおひらきになり、自分がまとめに入っていることが相手に伝わっているのだろうかといぶかしがる。相手がまとめに入っているのに自分が話を重ねていることもあって、相手の何回目かのまとめで相手がまとめに入っていることにハッとする。相手と自分の外で話しながらも自分の内では自分と会話をし、相手との押し引きがあることも否定をしない。