語る、また語る

いつもにプラスα

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常連になれたかもしれない

髪を切った後の整髪料は断る。いざスタイリングとなってからでは忘れてしまうことがあるので、入店して椅子に座り、鏡を前にしてビニールのカバー(カットクロスというらしい)を掛けられているくらいに言う。

そのころにどのように髪を切るかを話すのであるが、かれこれ三年くらい私は同じ説明をしている。しかし、相手にはいつも"今日は"どうなされますかと聞かれる。たまには違った感じにしてみたらどうかと言わんばかりである。今日は違った感じにされるかと思いましたが、いつも通りですね、と返ってくる。私の髪にチャレンジ精神はないのだ。

他愛のない話をしながら髪は何事もなく切り終わり、鏡を渡され仕上がり具合を確認、そのままカウンターへと促された。次の予約を入れ、カウンターのすぐ横にあるドアの外まで送られる。ありがとうございましたと言い合って別れた。

帰りの車の中で、そういえば整髪料の下りのやりとりがなかったことに気づいた。何も言わなくても整髪料をつけないのがあたりまえかのような自然さだった。さらに、次の予約についても取るか取らないかではなく、次はいつにしましょうかであった。

やっと常連になれたかもしれないと思った。